上場廃止は秒読み段階か? 監理銘柄に指定された東芝、8月には東証二部へ降格が決定

こんにちは! 株識編集部の前田です。

先日、仲の良いトレーダー仲間が「パソコンを修理に出したんだけど戻ってこない」と嘆いてました。「なんで?」と聞けば、「東芝のパソコンだからかな……」と返ってきて、「ああ、なるほど」と納得。

東芝といえば、今からちょうど2年前の7月、粉飾決算が発覚したことをきっかけに、現在は9,952億円もの赤字5,816億円もの債務超過を抱える大手電機メーカー。この事件は、普段ニュースをチェックしない人でも知ってるくらい、大々的に報道されました。

まさか、身近なところで事件の煽りを受けている人間がいるとは思いもよりませんでしたが、流石に東芝の影響力は強いですね。

それにしても一体、東芝の行方はどうなっていくのでしょうか? 倒産が懸念されるのはもちろん、トレーダーにとっては「上場廃止なるか?」が気になると思います。

上場廃止が決まれば、東芝の株券ですらもゴミクズ同然と言って差し支えない状態になります。大株主からすればたまったもんじゃありません。実際、歴代社長3人を含む東芝の経営陣は、株主から代表訴訟されるまでに事は発展しました。

僕自身は東芝の株券なんて1枚も持ってませんし、周りにもそんな人はいません。しかし現在、東証一部の月間出来高ランキング2位に東芝がランクインしていることから、取引所では東芝の株がかなり大きく動いてるようです。

そんなわけで今回は、「東芝がこうなるに至った経緯と原因」、「上場廃止されるのか? されるとしたらいつなのか?」について書いてみました。同時に「監理銘柄」や「特注銘柄」など、いわゆる上場廃止リスクのある銘柄に関する知識も得られるので、ぜひ参考にしてみてください。

東芝粉飾決算事件の概要

この辺りのことはもはや語り尽くされている感がありますが、「詳しいことは知らない」という方のために、事件の一連の流れについて解説してみます。

ざっくりとした流れを以下にまとめてみました。

2006年 東芝、原子力サービス企業『WH』買収
2015年 7月 東芝内部で不正会計が横行していことが公表される
2015年 夏 東芝、原子力サービス企業『S&W』買収
2016年 12月 原発事業について巨額の損失が判明

ポイントは二つ、「不正会計の発覚」と「原発事業が生んだ巨額の損失」です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

発端は不正会計の発覚

事の始まりは2015年7月20日、東芝内部で横行していた不正会計が、第三者委員会により公表(内部告発)された調査報告書によるものでした。

不正会計とはつまり、利益の水増し。これが発覚した当時は、2009年3月期の決算から合計で1,500億円ほどが水増しされていたとのことでしたが、詳細が明るみに出るにつれ、今では2,306億円も水増しされたいたことが判明しています。

合計で2000億円も超える不正会計がなぜ横行したのか? これは2008年の金融危機、つまりリーマンショックに端を発しています。

リーマンショックによって、たくさんの大企業の業績が落ち込んだのは、誰もがご存知の通りですよね。その中で多くの企業はボーナスカットやリストラなどで人件費を削減したり、採算のとれない事業から撤退したり、あらゆる策を講じて金融危機を乗り越えようとしました。

では東芝がとった策とは何なのか? 東芝の経営陣は、社員たちにどう考えても無理のある業績改善を求めたのです。これは社内で『チャレンジ』と呼ばれていました。

たくさんの大企業が「自力回復は無理」という判断を下したにもかかわらず、東芝は自力でなんとかしようと試みたわけですね。

当然、東芝社員たちには強いプレッシャーがかかりました。無理なものをなんとかしろと要求された結果、残された選択肢はただ一つ、不正会計です。

不正会計の具体的な手法は、取引先にお願いして請求書の発行を先送りしてもらったり(そのときの会計に含めないようにする)、グループ会社にパソコン部品を高値で押し込んだりなど(一時的に利益として計上する)、様々でした。

東芝では、主要事業のほぼ全てでこのような不正会計が横行していたそうで、それが合計2000億円も超える利益の水増しに繋がってしまったわけです。

ちなみにリーマンショック以降の東芝は、2009年と2011年に所得隠しが発覚しており、「臭わせる要素」は少なからずあったといえます。

原発事業の失敗が決定打に

9,952億円もの赤字と、5,816億円もの債務超過を抱えることになってしまった決定打はこれ、原発事業の失敗です。この額を聞くと、もはや2,306億円の水増しなんて可愛く思えてきますね。

事の始まりは2006年、東芝がアメリカのウエスチングハウス(以下、WH)という原子力サービス企業を買収し、原発事業をスタートさせたことがきっかけです。

WHには、同じく原子力サービス企業であるストーン&ウェブスター(以下、S&W)と共同で原発の建設を行っていました。東芝は2015年夏、このS&Wを買収しているのですがこれが大きな失策でした。

買収したとき、S&Wには105億円の資産価値があると見られていましたが、実際の資産価値はプラスどころかマイナス7000億円でした。この巨額損失が発覚したのは、買収から一年以上経った2016年末のことで、あまりにも気付くのが遅い点は非常に気になるところ。

すでに書いた通り、WHとS&Wは共同で原発建設の受注をしていましたが、その発注元との深刻な訴訟問題、加えてWHとS&W同士での意見衝突など、様々な問題を抱えていたそうです。それらを解消するために東芝はS&Wの買収に踏み切ったそうで、致し方無い事情もあったと推測されています。

しかし、なぜ東芝は7000億円もの損失を見抜けなかったのでしょうか?

これに関しては、S&Wの親会社に騙されていたという説が有力です。不正会計の件で東芝内部はゴタゴタしていたのでしょう。普通なら見抜けたはずのことも、見抜けなかったのかもしれませんね。

事業売却と大量リストラで再建を目指す

そんなこんなで、巨額の損失を抱えることになってしまった東芝ですが、3万人規模の人員整理(リストラ、再配置など)や、事業売却などで、なんとか経営の再建を図ろうとしています。

売却された事業には家電や医療機器などがあり、現在東芝に残されたのは、破綻した原発事業、売却交渉中の半導体事業、そしてこれから東芝が注力すると言われているインフラ事業です。

東芝の債務超過を回避できると言われている半導体事業は2兆円もの値がついていますが、様々な障害が立ちはだかり、売却成立は8月以降になる見通しになっています。

東芝は上場廃止になるのか?

さて、気になる「東芝は上場廃止なるか?」問題ですが、結論から述べると「まだ分からないけど、上場廃止になっても不思議じゃない」と言った感じでしょう。今の東芝は順調に「上場廃止ロード」を歩んでいますが、ここから復活する可能性も残っています。

とはいえ、ロイターの調査によると、「上場廃止すべき」の声は37%なのに対し、「必要ない」の声はたったの5%なので、上場廃止の可能性はやはり高いと言わざるを得ませんね。

ロイター企業調査:東芝上場廃止「すべき」37%、「慎重に」58%(他サイトへ移ります)

僕自身も、「主要事業をほとんど売却した = 事実上の企業解体」なのに、上場廃止にならないほうがむしろすごいんじゃないかと、個人的に思ってます。

では東芝が歩む「上場廃止ロード」について、詳しく見ていきましょう。

8月1日付で東証二部へ降格

東芝はすでに債務超過が確定しており、これが東証一部上場規程に触れているため、8月1日付けで東証二部への降格が決定しています。

債務超過が確定したのは今年3月末のことですが、「債務超過の状態となってから、1年以内にこれを解消できなかった場合は上場廃止」という規程になっているので、来年の3月末までに解決できなければ、正式に上場廃止となるわけです。

ちなみに、二部への降格が決定されたことによって、日経平均株価、TOPIXなどの主要株価指数の算定から除外されることも決定しています。日経平均は代替銘柄として、エプソンを採用するそうです。

株価指数に関する詳しい解説はこちらの記事でご覧ください。

特設注意市場銘柄から監理銘柄へ

東芝の株は現在、監理銘柄に指定されています。監理銘柄とは「上場廃止になる恐れがある」ことを示す銘柄のことです。

監理銘柄に指定されたのは3月15日のことですが、それ以前は特設注意市場銘柄(以下、特注銘柄)に指定されていました。特注銘柄とは、「上場廃止にはならないけど、内部管理体制に改善の必要がある」ことを示す銘柄のことです。

つまり、東芝は「上場廃止にはならないよ」から、「やっぱり上場廃止になるかも」の状態にレベルアップしたのです。言わばレッドカード一歩手前の状態ですね。

誤解のないように書いておくと、監理銘柄に指定されると上場廃止がほぼ決まるかと言われれば、そうではありません。監理銘柄に指定されて復活した企業は、結構多いです。しかも、監理銘柄から解除された銘柄は、株価が上昇する傾向にあるので、投資家にとってはチャンスにもなり得るわけです。

もしも上場廃止が決まったら株はどうなる?

上場廃止が決まっても、すぐに取引ができなくなるわけではありません。上場廃止が決まって即取引ができなくなってしまうと、トレーダーたちが予想もしない被害を受ける可能性が非常高いからです。

そのため、上場廃止が決まった銘柄は一ヶ月の間、整理銘柄として区分されます。つまり、上場廃止が決定したあと、一ヶ月間は取引所での取引が可能というわけです。

ではその一ヶ月間が過ぎ、正式に上場廃止となったら株はどうなるのでしょうか?

その場合、株券にはまだまだ有価証券としての価値が残っています(企業が倒産していなければ)。有価証券としての価値があるということは、配当や優待の受け取り、売り買いなどが可能というわけです。企業が再上場すれば株価が一気に上昇する可能性も、一応考えられます。

しかし、取引所で扱われていない株の売買は非常に手続きが面倒なのに加え、上場廃止に追い込まれるほどの企業に、配当や優待に回すお金があるのかと問われると、ちょっと疑問です。

そもそも整理銘柄に区分するということは、「今のうちに売っぱらってね」という証券取引所からのサインでもあります。上場廃止が決まった株を持っておくのは、あまり得策とはいえません。

まとめ

今回は東芝の粉飾決算事件と、上場廃止の可能性について書いてみました。今回の記事を簡単にまとめるとこんな感じ。

  • 不正会計が発覚したのち、原発事業の巨額損失が決定打になり事実上の東芝解体
  • 半導体事業の売却が決まれば、債務超過が回避できる
  • 上場廃止になるかは、遅くとも来年3月までに決まる

それにしても、本当にひどい事件ですね。このことを知ったときの僕の心境は「東芝が潰れる? そんな馬鹿な(笑)」って感じでしたが、今は「どんな大きい企業でも潰れそうになることはあるんだな……」と反省しています。

それと同時に、「普通に働いてても安心できない時代に差し掛かりつつあるな」とも痛感しています。実際、東芝と同じ電機メーカーのシャープも経営再建中ですし、2009年にはJALが倒産した件で僕の家庭内は大騒ぎでした(親がJAL勤務だったので)。

これだけのことを知っていると、「ただ仕事を与えられてるだけの状態」が、実はいかに危険な状態なのかは想像するに容易いことだなと、改めて思います。

明日は我が身、足元をすくわれないよう、自分の人生は自分で守っていきたいものですね。

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